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空模様

 隠された信仰

面接法面接法
(2002/01/10)
熊倉 伸宏

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引き続き、熊倉先生の話。

先生の著作がどれもすばらしくてうちふるえる。
この本は、臨床家や対人援助に携わっている方だけではなく
人と関わるすべての人が読んだらいいんじゃないかと思う。


面接法というタイトルがついており
実際、心の相談にきた人に向かい合うための本である。
けれども、面接の技術についてのみを書かれたものではなく
他者を受けとめるための思想書とも言える。


・………・………・………・

自分には助ける力があると過信して、自信たっぷり、面接をする人がいる。
相談にきた人に説教したり、自分の考えや思想や宗教を押しつけたりする。
本人は満足であっても、相談にきた人こそ迷惑を被っているのである。
この面接者は、先生からも面接の相手からも
学ぶ姿勢を持たない。


・………・………・………・


こういうのは、セラピストのなかにもたくさんいるし
実際、私もそういう傲慢さを持っていた。


・………・………・………・

「外科医が血を見て卒倒していたら仕事にならないだろう。
心の専門家が人の苦しみを直視できないでどうするの」。

「強くなければ生きていけない。しかし、
優しくなければ生きていく資格はない」とは
有名な小説の主人公である。
しかし、面接者は通常は、映画カサブランカのボガードのように
格好良くはない平凡な人間である。
それが専門理論を学んで研修することで
そのように強靭になれるのだろうか。
つねに、それができる人間を私は知らない。
容易に、それができる人も知らない。
人にそれだけの強靭さがあるか否かも、私にはわからない。
このような理由で、私は心の相談を「不可能な仕事」と呼んでいる。
そう名付ければ、人の相談に乗るということが
面接者自身の心をも侵す危険性を持つことを、自覚できるからである。
「人の心に素手で触れば火傷するのだよ」。
危険性の自覚が、今、私の知る貴重な専門知識である。
その点に気をつければ、面接者には発見の喜びが与えられる。
不可能と思えた問題を、来談者が「自分」で解決していく過程を
目の当たりにできるからである。来談者が、いとも簡単に
不可能を可能にする瞬間を、「一緒に見ること」ができるのである。





肯定の心理学-空海から芭蕉まで肯定の心理学-空海から芭蕉まで
(2012/10/13)
熊倉伸宏

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先生は、「肯定の心理学」のなかでこう書かれている。


自然の前の人間の無力。
そこで人は何を見て、何をするか。
そこに人間による人間の間が在る。
心の臨床家が避けられないテーマが在る。

・………・………・………・

311の震災後
「心のケアおこないます」と言って
多くのカウンセラーもどきが被災地に入った。
しかし、その多くが恐れをなして逃げたという。
想像以上の被害に、どうしていいかわからなくなったのだという。

その結果として
現地の人たちは「心のケアお断り」を掲げた。
人の傷を無理矢理こじ開けて、
おさめもせずに帰っていったということだ。


私も実際、現場に立った時に
ぐらぐらになった。
苦しかった。

まず、私自身の精神的支柱が必要だと感じた。
それが、いまのグリーフケアを学ぶきっかけへと繋がっていく。

・………・………・………・

自己肯定であれ、他者肯定であれ
「人間を肯定する」ということは、肯定か否定かと判定する立場を捨てて
「なんらかの普遍的なもの」へと質的飛躍を遂げること。
明確には語られていない、さらに深い水準で
「人間であること」、そのものへ私は肯定的態度を示しているのだ。
私が肯定的態度に導かれるのは、たぶん、私の前にいる彼ら自身の心に
なんらかの肯定的メカニズムが作動している反映なのだ。
彼らの絶望にこそ、私は肯定を感じているのだ。


・………・………・………・


熊倉先生の師、土井健郎氏は
「治療者が『隠れた信仰』を持たなければ
患者の示す真実に立ち向かうことができない」
と書いている。

熊倉先生自身は
「存在は肯定」ということをこそ、
「隠された信仰」としていることを
著作「死の欲動」のなかに書かれていた。


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先生のことばとの出会いはすばらしかった。
私がこの数年求めていたものだった。
ここをもう少し噛み砕いて、私の支えとなるものとしていく。



2 Comments

ぴぴん  

うちふるえる

本を読んでうちふるえるのは素晴らしい体験ですね...
私も読んでみることにします。

2015/02/16 (Mon) 07:47 | EDIT | REPLY |   

チエ  

Re: うちふるえる

ぴぴんさん

よかったらぜひ。
医学書の分類なので買うには少し高いのですが
まずは図書館でみつけて。

2015/02/16 (Mon) 15:34 | EDIT | REPLY |   

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