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空模様

老いと死 その一

Posted by チエ on   0 

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相方のばあちゃんが、今年の一月から入院。
デイサービスで95歳の誕生日を祝ってもらい
それがうれしすぎて、心臓に影響が出たらしい。
病名をつければ、心筋梗塞で
心臓の大部分が機能していないと言われたそうだ。

時々、
本当に時々、見舞いにいって
オイルを使って手と足のマッサージをさせてもらった。
「生き返るわぁ」と冗談を言えるほどに
しっかりと話していたが
その後、病院から老人保健施設にうつり
一昨日久しぶりに会いに行ったが
私のことはもうわからなくなっていた。

1月までは、一人暮らしのなか
しっかり自分の足で立って歩いていたが
もうすっかり寝たきりの老人になっていた。

先週末にふたたび心筋梗塞の発作を起こし
この次なれば病院へ搬送するが
その際、生きながらえるための措置をどうするかという話を
お医者さまや、ばあちゃんの身の回りをお世話してくださるチームの方々
と相談することとなった。

日頃から、そこらじゅうを管でつながれてまでは生きなくていいと
ばあちゃんや家族で話していた通りに
「検査も、延命措置も結構です」と
明確にはことばにできずとも
話し合いの中で、暗にそのようにお互い了解しあった。

話し合ってきたこととは言え
当人でないものがその判断をせざるを得ない
ということが、末席にいるものとしても重い。
今回の場合も揉めることはなく、
親戚みんなが同意の上であっても。


私が介護の方向をみようと思うようになったのは
ばあちゃんのことが大きいかも知れない。
人が老いていく過程を
私はこうしてはじめて身近に見させてもらったような気がする。
自分自身の祖父母は、離れて暮らしていたし
私ももっと若かったから、「老いること」について
感じ入ることはほとんどなかった。


介護職員初任者研修の一日目を先日受けて
その会場である介護老人福祉施設、
いわゆる老人ホームの内部を見学させていただいた。
翌日はばあちゃんのいる介護老人保健施設。
(研修でその施設の違いについて聞いたばかりだったから
実にタイムリーだった)
この夏から、たくさんのお年寄りの顔を見ている。

これから団塊の世代が「高齢者」といわれる世代へ移っていく。
50年前までは70歳、男性は65歳だった寿命が
今年、とうとう男女とも80をこえた。
単純に聞けば、長生きできるということは
しあわせでゆたかに聞こえるかも知れない。


日本はもはやこどもの数が少なく
2060年には、2.5人に1人が65歳以上
4人に1人は75歳以上となる。

50年前には16人で1人を支えてきたが
来年には3人で1人を支える計算になる。
2060年にはほぼ1人で1人を支えることになる予測が立っている。

動ける力のない人々がそんな割合にある国の将来は
はたしていかように。


この国で
長生きできることはしあわせなんだろうか
そんなことをつらつら考える。
ここ最近、見かけた方々の顔を思い出しては。


ばあちゃんの姿を見ていて
デイサービスで働くようになって
ここ数日、施設ですごすたくさんの方々の顔を見て
気持ちがずいぶん揺れているのだけれど
今はまだ、うまくその気持ちをことばにできない。
ようやくここまで書き出せた。


「老いること」と「死ぬこと」を
あらためて考えながら、感じていることを少しずつ書き出していきたい。


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