ただいま
2008/09/10(Wed)
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日本列島の西端
長崎県は五島列島、小値賀島と宇久島に行ってきました。

もう何度目かな。
2年の間に4回目かしらん。

何にもないと誰かが言っても
ホントに必要なものがここには全てあると
私は思うから、何度だって行きたいと思えるのだな。

小値賀島の土は、赤い色。
赤い砂浜の海水浴場もあります。
火星みたい。
裸足になって地面に足をつけると、エネルギーをもらえるような心地があります。
島の性質か、ここは人もエネルギッシュです。


宇久島には、反対に、穏やかに広がる空間があり
何かがすこーんと抜ける心地があります。
空も海も大きくて広い。
大浜の海を見ているだけで、これ以上何もいらないなぁと思えてきます。

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それぞれの島に数日滞在した後は
長崎の市内へ。
ここにもあいたい人達がいて
会うたびにそりゃまぁ大騒ぎ。

長崎への旅で、切っても切り離せないものはお酒。
船に酔っているのか
酒に酔っているのか
一体なにに酔っているのかわかりませんが
京都に戻ってきても、いまだかすかにカラダが揺れております。



今回も何かと縁をいただいて
いろんな人と出会うことができて
また訪れる楽しみが増えました。


物理的な距離じゃないんですよね、旅は。
時間も距離も、単純に測れないなと思わせてくれます。


またふっと飛びたいと思う日に。
次はいつかな。

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五島列島
2008/08/31(Sun)
旅 2008年 10月号 [雑誌]旅 2008年 10月号 [雑誌]
(2008/08/20)
新潮社

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3日から、私が行く長崎、五島の島々。
その五島列島の特集を組んだ雑誌が今発売されています。
http://www.shinchosha.co.jp/tabi
いいぞー、新潮社!

写真もたっぷり。見所満載。
こんなオシャレな旅雑誌があったことを
今まで知らずにいたけれど、
こんなコアな特集記事を組む雑誌なら、これからもチェックして行きたいッスね。




私の長崎に対する思い入れは
このブログに「長崎」というカテゴリーがあることからも
おわかりいただけるかと。

よかよか長崎。

よかったら
私が旅に出ている間、雑誌でも眺めて
一緒に旅している気分を、味わってくださいな(笑)。


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長崎に飲みに行く
2008/01/27(Sun)
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私のこのブログに「長崎」というカテゴリーがあるというのも
おそらく友人たちに言わせると
「何か間違っている」ということになるのだろう。

長崎に何かと縁がある。
去年も3回訪れた。うち五島ヘ渡ったのは2回。
そして、私がバイトしている小料理屋の女将も長崎の五島出身で、
なぜか高槻の地で長崎の話題が頻繁に出る。
おもしろいなぁ、とよく思う。


長崎に住む友人たちが長崎市内に
総菜バーなるものを昨年末オープンさせた。

そうなればいいとどこかで私も願っていた話が
形となったので、これは駆けつけなければならないと思っていた。

「長崎に飲みに行ってきます」と周りの人にだけ告げ、
長崎の友人たちには内緒のまま、夜の9時過ぎに新しい店の扉を開けた。
友人たちには、声を上げることさえ忘れるぐらい驚いてもらえたが
「京都から飲みにきました」と告げる私の声も少し上ずる心地がした。


それがまぁ、なんといい店で。
おいしいし、安いし。
近くにあったらなぁ。
入り浸りなのになぁ。




誰かに会う
というのは、物理的なことや時間的なことは
あまり関係ないことだと私は思う。
近くに住んでいてもほとんどあうこともない人もいれば
遠くても一年のうちに何度も会えてしまう人もいる。

気流に乗るタイミングを逃さないようにするだけ。


観光らしいことはほとんどしないのだけれど
いつも何かしら濃厚で盛りだくさんでお腹いっぱいの旅になる。
長崎、いつもいつもありがとう。

京都から「長崎に飲みに行く」ということができてしまうことと
それを「バカじゃないの?」と迎えてくれる人がいるというのは
なんてシアワセなことなんだろうと思う。



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私の友人たちの店。

総菜Bar くりや
http://kuriya2007.exblog.jp/
長崎市江戸町2−20ー2F
Open / 17:00-23:30 (Last Order / 23:00)
Closed on Sundays
phone:095-822-3530

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よかばい 長崎
2007/06/18(Mon)
朝。
目覚めたら、隣の部屋でひでさんがあぐらをかいて
焼酎を飲んでいた。
・・・朝から。

前日、ビールを買いに行った時に
スーパーでレイナちゃんちの大家さんにばったり会い
時間があったら島巡りに連れて行ってくれると話をしていた。
あれは本当だろうか
と思っていたら9時ぐらいに大家さんが車に乗ってやってきた。

ひでさんが大家さんに
昨日大体廻ったし、行ってないのは五両ダキだと言ったら
大家さんが「それならばアンタが連れて行きな」という話になり
結局、またひでさんにドライブに連れて行ってもらうことになった。

五島列島では、
火山性の山が海蝕作用によって断崖となった地形を「ダキ」と呼んでいるそうだ。
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牛が草を食む平原を越えたところに五両ダキはある。
数万年前に噴き出た溶岩が固まって形成されている小高い入り江を
おそるおそる降りていくと
真白い浜とまた他の場所で見たのとは違う色の海が見えた。


私たちは言葉もなく、ただ海を見続けていた。
キラキラと光る波を見ていた。
私はまたサンダルを脱いで足を水に浸した。
このまま全身、ダイブしたら
本当に全てが洗い流される気がした。
その後のことを考えたらできないのだけれど
ここで砂中に埋まったり、水に浸っていると
間違いなく心身ともに浄化されると思う。
次はちゃんと用意をして来よう。
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どれぐらい海を見ながらぼんやりとしていただろう。

ひでさんが、「行こうか」と言った。
いつまでも飽きもせず、見ていられそうだった。

ひでさんちの向かいにあるオーガニックというカフェで
コーヒーをご馳走してもらい(ホント、何から何まで・・・。)
ひでさんにお礼を言って
わたしとおかべっちは店を出た。
酒屋でトリオにお礼として献上する一升瓶を買い
家に戻った。


レイナちゃんちの冷蔵庫にある前夜の残り物
といっても、なかなか贅沢な残り物を昼食にして、
船が出るまでの時間をぼんやりと過ごした。

船の時間はアバウトにしか見ていなかった。
途中、ちゃんとレイナちゃんに確認しようかと
少し胸が騒いだのだけれど、携帯も圏外だし
めんどくさいしという単純な理由でほったらかしにしていた。

1時45分ぐらいにレイナちゃんちを出て
かずあんちゃんに一升瓶を渡してお礼を言った。
握手をして、また来るからねと言ったら
また来いな、来るんならあらかじめ早くに連絡するんぞ
と言ってくれた。

ターミナルに向かったら
乗るはずの船が搭乗口になる渡しを引き上げていた。
あの胸騒ぎはやはり本当で、
私はやっぱり出港時間を間違っていた。
ターミナルにいた次の船待ちの人が
「次に高速船があるよ」と教えてくれた。
どうも、私はその船の時間と勘違いしていたらしい。

佐世保-小値賀間には3種類の船が出ている。
美咲フェリーが出しているフェリーと高速船
そして九州商船が出しているなるしお。
美咲フェリーは1800円、高速船が3500円
なるしおが2730円。
結局、私は全ての船に乗ったことになる。
一番いいのはなるしお。
船が少し大きいので安定した走りで快適。
高速船は佐世保-小値賀間が1時間半と早いが
小さい船なので波の影響を受けやすい。
また船外には出られないのでつまらない。
美咲フェリーは安いのがとりえ。
上五島の観光大使としては、こうしたことも伝えることがてきて
船を逃した甲斐もあったものだよ。
それにしても、一日の便数が限られてるんだから
ちゃんと出航時間は確認に確認を重ねたいものだ。
・・・ああ、もう行き当たりばったりだな。
私の人生そのもの。
まぁ、それでもこうして、ちゃんと船に乗れてるんだから
しかも、後に出る高速船の方が佐世保に早く着くのだから
ちゃんとうまいことできてるんだよ。

おかべっちとレイナちゃんが見送りに来てくれた。
今回の小値賀の旅は終わり。
京都に帰ったら、今度は友人たちを巻き込む旅にすべく
決起集会をひらこうとおかべっちと話をして
私は船に乗り込んだ。

宇久も好きだし、小値賀も、野崎も
また帰ってくるよ。
祖父母が亡くなって以降、
私には故郷というものがないような気がしていたけれど
五島は私にとって、「ただいま」と帰れる場所になった。


ターミナルでようやく携帯がつながったので
今夜会う予定のゆみちゃんとゆきちゃんにメールを入れる。
船はスピードが速くて、少し気分が悪くなった。
けれども少しうとうととしている間に佐世保港に着いた。
着いたと同時におかべっちからメール。
「電話できるかな?」
今、佐世保に着いたよ どうしたの?と返信しても
電話がないので、私から電話をすると
初日に泊めてもらったギャラリーのオーナーが
予定外の、しかも女を泊めたということでご立腹らしい。
奏者だから寝床を提供したのであって
ホテルじゃないのだから、とのこと。
何にしても事前に伝えてなかったこちらが悪いし
今後の信頼関係をまた築いていくのにはいい機会だ。
とりあえず今夜は予定を変更して、長崎市内に向おうと思う。
ネットカフェで寝ようと思うし、店があったら教えて欲しい
と言う話だった。

4時半の高速バスに乗って、私は長崎駅前に向った。
そして駅前でゆみちゃんと再会。
ゆみちゃんに
逢いたかったよ
と言われて、鼻の奥がツンとした。

ひとまず、ネットカフェが近くにあるかを聞き
かいつまんで事情を説明すると
「うちでよかったら、泊まってもらってよかよ。」
さすがゆみちゃんだ。

初めに連れて行ってもらったのは台湾料理の店。
まずはビールで乾杯。
少し遅れてゆきちゃん登場。

ゆみちゃんとは1月に京都で会って、
3月に長崎で会って、今年だけでも3度目。
長崎-京都と離れている感じがしない。
出会いはタイミングだと常々思っているが
この人たちと会っていると
やはり、物理的な距離は関係ないなと思う。

2軒目はゆみちゃんがここのところ連日通いつめている森山酒店。
moriyama.jpg

酒屋が切り盛りしている立飲み屋だが
ガテンなおやじたちがたむろする、従来の立飲み屋のイメージは全くなく、
照明もほどよい明るさの昼光色で
なんと、店主セレクトのレコード盤でジャズがかかる
なんとも、居心地のいい立飲み屋。
しかも安い。
本日の焼酎が200円。
他の焼酎でもだいたい300円前後で飲める。
カウンターには袋に入った乾きものやら缶詰が並んでいる。
好きなものをオーダーして、ガラスの器にお金を入れておくと
店主が代金を引いていくというシステムだ。
ゆみちゃんも、駄菓子屋に行くみたいに
1000円札握りしめて来れると言っていた。
毎晩のように通ってしまうのは
私が悪いんじゃなくて、この店が悪いとのたまう。
来ている人たちの顔もまたいい。
みんな一様に楽しげだ。
お酒飲んでHAPPYって、本当にシアワセ。
この旅日記も、旅日記というよりは酒日記だな。

最初は紹興酒。2杯目は焼酎を飲んで
あれは3杯目だったんだろうか。
大笑いしているうちに手を滑らせてグラスを割ってしまう。
グラスにもお酒にもごめんなさい。


森山酒店は10時半に閉店なので
3件目は恒例のワインバー「田舎」へ。
3月の長崎行きのときにも書いたが
田舎というワインバーは、長崎に行くたびに訪れる店。
ワインバーなのに、そのワインが密造酒みたいな味のする店。

11時過ぎたぐらいにようやくおかべっちから長崎入りしたと連絡が入る。
ゆみちゃんに変わってもらって、ナビゲーションしてもらい
近くまで着いたようなので、ゆきちゃんと迎えに行った。

おかべっちにはハープを持ってきてもらい
田舎でその音色を披露してもらった。

その時に店にいた人は少数ではあったが
みんな目を閉じて深く聞き入っていた。
壁面も床も木でできた店は、音の響きがいい。

「薄汚れたものがきれいになっていく気がする」と
オーナーの梅さんは言った。
店にアイリッシュの曲をオカリナで吹く女の子が出入りしているらしく
今度はその子とのセッションもすすめてくれた。
また、これが何かにつながればいいなと思う。

途中、ゆきちゃんは帰っていったが
私もゆみちゃんもハイペースで飲みすぎ
酔ったまま、亡くなった彼の話をしだすものだから
二人とも涙をボロボロ流す始末。

だって、間違いなくまたここで会えると思っていたんだもの
あの囲炉裏端に座って、飲む日がある
と思っていたんだもの

ゆみちゃんと彼が会ったのは今年初めの1月、京都で。
仕事で全国を飛び回っていた彼は、
次に長崎に飛んだ時は間違いなくゆみちゃんと飲んでいたと思う。
一度しか彼に会っていないのに
こんなふうに思ってもらえて、シアワセだよね
残された私たちはこんなに悲しいけれど
と私は思う。

田舎にいたのは、午前3時半まで。
そこからタクシーでゆみちゃんちに帰り、
ふとんを用意してもらい、あっけなく眠りに着いた。


翌日は、夕方から小料理屋のバイトだったので
帰ってからタイトだとしんどいしと
朝一番の飛行機にしていたのだが
これはこれできつかった。
ゆみちゃんにも、何をもってタイトというのだ
全くあなたという人は!と笑われた。
帰ってそのままバイトに行くということ自体がスケジュールミスだ。
朝7時に起きるようにしていたのだが
お酒がちっとも抜けていない。

その日はおかべっちも福岡に出る予定だったので
空港まで送ってもらうことに。
初めはゆみちゃんが送ってあげると言ってくれていたのだが
ゆみちゃんも二日酔いというか、
酔っぱらいのままだったので
おかべっちがいてくれてよかった。
というか、おかべっちは、ネットカフェに泊まってたほうがラクだったかもしれない。
そう言うと「そうかもしれない」とな。
すまんかった。
でも、田舎に縁ができてよかったよ。
私としては、どんぶらこーと渡りに船だったのでありがたかった。


飛行機搭乗の40分ほど前に長崎空港に送り届けてもらい
おかべっちとも握手をして別れた。

私にとっては全てが順当に進んだが
それらは全て、周りにいる人のおかげだったと思う。

この数ヶ月
自分の周りにいる人、みんなに助けられた。
本当にみんなに。
離れていても、自分のことを想ってくれている人たちがいること
さらにこうして毎月のように旅に出て
みんなに逢って体感できたことで
私は少し、いやかなり強くなれたと思う。

5月中旬頃に激しく打っていた心臓は
今、とっても穏やかだ。


彼の死によって
私の中、奥底に潜んでいた迷いや不安の素も
全て、表に出てきた。

ずっと、どこか認めまいとしていたそれらを
ああ、やっぱりそうだったんだね
不安だったんだね
迷っていたんだね
と認められたこと
そんな私でも、周りにいる人たちは
そんなことは知っていたかのようで
だからそれがどうしたのというような顔をしている。
私だけが怖がっていたこと
自分で自分が一番わかっていなかったなと思う。

数ヶ月にわたる旅は、ここでいったん終わる。
彼とのことも、旅の中で彼が生きた軌跡を辿ってきたけれど
こうしてなんとなく自然に区切りがついて
私はまた違うものを見ようとしている。
彼のことを忘れることはきっとないが
こうして光になろうとしている彼に見守ってもらいながら
私は、また次の旅に出る準備をしようと思う。


おかべっちと、道すがら
ずっと話していたことは
「細胞が喜ぶことをしよう。」ということだった。
私たちのカラダを構成する60兆もの細胞、
その一つ一つが喜びで震えるような瞬間を持ち続けよう、と。
その振動が、他者の細胞とも共鳴して、
それぞれの魂に届くようにしたいね、と。
みんなシアワセになるために生まれてきた。
全ての細胞がフル活動できるような、ムーブメントを感じ続けていたいし
みんなで共鳴しあって生きたい。


いろんな人に支えられている。
ここを読んでくださっている方、みなさんにも。


ありがとう。
本当に、感謝の気持ちでいっぱいです。

私が、この旅の中でもらった分は
また違う形で他の人たちにも渡していきたいと思っています。

見えないもの、気持ち
そんなものをずっとやりとりし続けたいと思っています。



それにしても、長崎は
いいものが揃ってるなぁ。
どこでもドアが欲しいとつくづく思う。
九州の中でも行くところは決まりつつあるけれど
九州の方言はかわいいなぁとよく思う。
「よかよか」って言われると
「ああ、それでいいんだ・・・」ってなんだかとてもうれしくなる。
小値賀だとそれが「よかっち」になる。
ああ、もう胸がキュンとする。


なにか懐かしいと思うもの
不思議と足を向けてしまうような場所は
かつて自分の魂が存在した地だと言う。

本当かどうかはわからない。

でも、
そうなんだろうなと思う。

また、長崎に行ったら
ただいまと言うよ。

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小値賀の夕べ
2007/06/18(Mon)
雨の朝。

トレッキングや海水浴の予定をたてていたみんなも
部屋でおとなしく過ごしている。
朝食もすませた様子。
私は、おかべっちに「朝ごはんはどうする?」と聞かれて
ようやく起き上がった。

コーヒーと、ロールパン、サラダと卵の朝食をゆっくりとって
のろのろとカラダを動かし
私は砂浜に向かった。
なんとなく雨でよかったと思う。
さほど激しくもなく、やさしく細やかに降る雨で。

浜を一人で歩いて、流木を拾っていたら
またパーッと雨が降ってきた。
塾村に戻り、天主堂に行ったら
おかべっちがハープを弾いていた。
私は扉の外で海を見ながらハープの音を聴いていた。
他の人も、しばらくハープに聴き入っていたかと思うと
またスーッと出て行く。
みんな、かわるがわる出入りしていく。
思い思いに、ゆっくりと好きなように過ごしていた。

雲が切れて、太陽の光が差し込んできた。
Yちゃんが泳ぎに行くと言って、着替えに戻った。
私も再び、浜に向かった。
昨日、残したビールを持って。

MくんとKさんが浜にいた。
すでに泳いだ様子で「冷たすぎて死にます」と言った。
水を見ていたら脚をつけたくなる。
サンダルを脱いで、脚をつける。
確かに冷たいけれど、死ぬほどじゃないよ。
umi_nozaki.jpg

岩に腰を下ろして、ビールを飲んでいたら
Mくんが声をかけてきた。
「この旅のテーマは何ですか?」
私は少し考えて、
「ずーっと旅をしてきたの。この数ヶ月。
毎月、どこかに身を置いて。家にいてもずっとずっと
カラダは家にありつつ旅をしてきた気がする。
・・・3ヶ月前にね、付き合っていた人が死んだの。
そこから、うーん、何かを辿るようにして旅をしていたような気がする。
ここもね、来ようって言ってた場所だから。
でも、ここでね、一区切り。
やっと帰る感じ。一段落してね、また新しい旅の始まり。
ずっとずっと旅をしてるのかもしれない。」
と言った。

Mくんは、ずっと海に関わる仕事をしてきたと言う。
ダイバーだから、そのインストラクターとか、スイミングのコーチとか。
でも、一度いわゆる会社員というものをやってみたくて
憧れて半年前に商社に入社したそうだ。
「思っていたのと全然違った」と言っていた。
「毎日毎日きつくて、もう辞めたいと思う。」
私はいとも簡単に言う。「辞めたらエエやん」
「でもね、ここで辞めたら負けやって、思ってしまう自分がいるんですよ。
そういうのを勝ち負けだというのってしょうもないと思うんですけどね。」
「そうかー、今いくつ?」
「28です(27だっけかな。)」
28と言ったら、私がちょうどマッサージの店に勤めだした年だ。
結局、イヤだイヤだと思いながら私はあの店に5年も勤めた。

勝ち負けとかじゃなくて、ただ、納得するまでやめられなかったのだ。
まだ何か得られるような気がして。
何も考えずとも、なんとなく離れられるタイミングがあると思う。
実際、私はいつもそうやって、半ば自分の意思とはまた違うところで動いてきたから。

「自由ですね。おかべさんも。
ボクも、海にいた頃は自由ですねって人から言われてたけれど
今考えるとまだまだ自由って感じじゃなかったな。」
いやー、私も途上だからね、自由で不安になることもあるし
人に自分の人生論を語って諭せるほど年もとっていないし経験もない。
話していてちょっと恥ずかしくなってきた。
「うーん。でもね、こうなりたいと思う自分があって
それをちゃんと明確にしてると、そうなれるよ。
それだけは本当だと思う。」
話していたらYちゃんたちが水着になって泳いでいた。
「うわー、すげぇな。女の人は強いよ。」
「あはは、そうそう。オンナはね、強いんだよ。」
「ボクも、もう一度泳いでみよう」
そう言って、彼は海の方に歩いていった。

昼食ギリギリの時間まで海と戯れた。
昼食は昨日の刺身の余りをゴマダレにつけたものが、これまた絶品だった。
いつ食べても、何を食べてもおいしい。
last_lunch.jpg

時間もタイトなのに、かなりゆっくりと食事を堪能して
食器を片付けた後、出ると言っていた時間を多少オーバーして
私たちは、この自然学塾村を後にした。

帰りはチャーター船。
直通だから15分で小値賀に帰れた。

MくんとKさんは、この後すぐに出る高速船に乗って佐世保に戻ると言った。
他のメンバーは最終5時の船で。
それまでは車を借りて島を巡ると言っていた。
Mくんとは「次もまたここで会えるね」と言って別れた。
彼も「多分、仕事辞めてこの島にいますよ」と笑った。

私とおかべっちはレイナちゃんに家まで送り届けてもらった。
夕方午後三時。
ビールを買って、一休み。
「おばあちゃんちの夏休みみたいだな」とおかべっちは言った。

折りたたんだふとんにもたれて、ビールを飲んでいたら
かずあんちゃんとさだあんちゃんが車に乗ってやって来た。
ビールを手に持って。
島は、ある意味治外法権だな。
「おかえり。島はどーやった?」
「もうすごいよかった。」
「お、飲んどるんか。つまみはいらんか?」
「あるならもらうよ」
「ということは、持って来いってことやな」
と言って、かずあんちゃんはまた車に乗って出てしまった。
遠慮という言葉を、私もここでは忘れている。
戻ってきたかずあんちゃんが持ってきたのは、さざえ。
しょうゆで甘辛く炊いたのと、刺身と。
ああ、なんて贅沢。
おかべっちと二人で貪る。
私たちの通った後に食べ物は残らない。


しばらくして、ひでさんが登場。
かずあんちゃん、さだあんちゃん(さだあんちゃんもなまって縮むとさざんちゃんになる。)、ひでさん
このトリオは最強だ。
話すことがおかしすぎる。
小値賀の言葉もかなり混じるので、うまく書き出せなくて残念だが
もう関西のヘタな漫才師よりもおかしい。
狙ってないのにウイットに富んでいて実に巧みな会話。

夕陽が沈む時間が近づいてきたので
ひでさんが、島巡りに連れて行ってくれると言う。
ひでさんは家業で生の鰹節(これもまた絶品!)を作っていて
車にも香ばしい匂いが染み付いていた。

お天気も全て計られていたかのよう。
ひでさんも「今日は絶好の日和」と言う。
すばらしい夕焼け空を仰ぎ見ることができて
本当にシアワセだった。
yuuhi.jpg

一時間半ほどのドライブを終えて
家に戻ると、かずあんちゃんが刺身の大盛り合わせを持って来てくれた。
今日は、レイナちゃんも仕事を早く終えて帰ってきてくれ
さだあんちゃんも揃って、最後の夕餉を楽しんだ。
腹を抱えて笑った。
私は、島の漁師と大工に「酒強いね」と烙印を押された。
これでもう怖いものなしだ。・・・何に対してだ?
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